ハセツネ 2018年回想ポエム
二回目のハセツネ参戦
会場についた僕は両親とスタートゲーで記念撮影をする
記憶と記録
普段は家族写真は撮らないがハセツネの記憶は家族とともに
心に刻みたいという思いがそうさせたのだろう
10月なのに30度を超える暑さの中スタートがきられた
数キロ先の橋で待ち受ける父さんと母さんとハイタッチ
楽しそうだった
高齢になった親が楽しむのは嬉しい あと何度あんな笑顔が見れるか
ふと寂しくなる
隣には僕の父さんと母さんと同じように、息子さんを応援しに来た
おばさんがいる 笑顔で僕を見送ってくれた
また来年もここで会おうねと僕の両親と約束をしたらしい
そっか、また来年も出場しようかな
応援者たちの再会のために
僕は71.5キロの奥多摩の山域を夜通し走りとおした
もちろん歩くところは歩くけど
漆黒の闇の筈の山深いトレイルがハセツネというレースの一夜は
ヘッドライトの光で繋がれる
月夜見駐車場の第二関門で
僕なりのベストを尽くせた筈だと
自撮りをしようとアイフォンを探した
瞬間、身体の疲労よりきつい心の痛み
35キロ地点の休憩時に切り株に置いた
アイフォンがまだあそこにあると気づいた
もう引き返せない
無くした記憶と記録
スタートで両親と撮った写真も
ここ数年の想い出も置いてきてしまった
でも引き返せない、ゴールを目指そう
幾多の山を繋いでいった
脚は悲鳴を上げていたが、ただ無心で
進もうと試みた
曇りがかった朝日が倦怠感と共にやってきた
そこからの10キロは果てしなく長く感じた
ついに訪れたゴールゲート
僕はその瞬間を記憶に焼き付けた
新たに手にした
記憶と記録だった